人生80年、時には100年時代と言われており、今後、健康的に暮らしていくための対策などは非常に重要になってきます。

例えば、定年をしてからも普通に暮らしていきたい、子どもたちに迷惑をかけたくない、といった想いがある方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は健康的に暮らせるための最も基本的なポイント、病気になりにくい住まいづくり「予防医学のベースとなる0次予防」に焦点をあてて解説していきます。

健康に暮らすための住まいとは?

※出典:LIXIL様資料引用

0次(ゼロジ)予防とは、これまでの予防医療の中心だった早期発見・治療よりも前段階において、日々の生活の中で根源的に病気などの予防を行う考え方です。

このように、そもそも病気などにかかりにくくすることが0次予防ですが、日常生活において恐らく一日の半分以上は、自宅にいるという方もいらっしゃるでしょう。

マイホームが0次予防に適している家なのか否か?で、健康への影響は大きく変わってきます

健康を維持する0次予防の要素には、温度・空気・水・光・自然といった常に身体に影響を与えているものがあります。

これらを適切にコントロールすることで、心身を整えやすく結果的に健康を創り上げる0次予防となるのです。

家の中で特に重要な要素は「温度」

住まい 温度 環境

マイホームにおける0次予防の中で、重要なポイントは「温度」です。
特に冬は外気温と室内の温度差が大きくなりやすく、注意が必要になってきます。
まずは身体に温度が与える影響をみていきましょう。

住宅の高断熱化で疾患の減少に

高断熱住宅化

上図は、住宅の断熱に関する業界の第一人者である、慶応義塾大学の伊香賀教授の資料の抜粋です。
アレルギー性鼻炎や気管支炎等の各種疾患が、高断熱住宅への転居によって改善したという調査結果を表しています。
必ずしも断熱だけの効果とは言えないものの、室内環境が複合的に改善された結果として、疾患の率が一律で低下しています。

室温は18℃以上をキープすること

室内温度の目安として18℃という温度を許容範囲としています。
日本の旧来の住宅は断熱性能に乏しい家が多く、冬に暖房をしていないと10℃以下程度まで室温が下がる家があります。
このような室温の場合、血圧の急激な上下、呼吸器系疾患に対する抵抗力が低下することが指摘されています。特に身近で危険な事象として「ヒートショック」があげられますが、注意すべきポイントも見ていきましょう。

ヒートショックはかなり身近に起きる事象

ヒートショックの危険性

出典:第一薬品工業株式会社

本記事をご覧になっている方の中には、ヒートショックという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
ヒートショックとは、身体にもたらす温度差(室温・外気温・浴槽内など)に伴い、血圧が急激に上下し、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まる事象です。ヒートショックでは毎年、交通事故死者の4~5倍、約19,000人の方が亡くなっており、他人事ではない事象です。

入浴中の死亡者数と気温の関係

出典:日刊介護新聞

そして、ヒートショックは入浴中・前後で発生する確率が高く、死亡者数が気温との相関で増減することも分かっています。
しかし、ココで重要なポイントは寒冷地に限った話ではなく、むしろ本州地域に多いことです。

ヒートショックは本州に多い

地域別ヒートショックの危険性

出典:国土交通省・断熱改修等による居住者の健康への影響調査

上図は、冬季における死亡増加率の割合を地域別に表したものです。
厳寒の北海道・青森は、他の季節と比べて冬季に死亡する割合差があまりない一方、関東地域以南は、冬季に死亡率が増加する傾向が顕著に出ています。
この要因とされているのは、住宅の断熱性能です。
元々、北海道などの厳寒地は家の断熱性能がしっかりしており、家の中が暖かく、居室・非居室の温度差が少ない環境になっているため、解説したヒートショックが起きにくいと言われています。

ヒートショック・各種疾患対策として住宅の断熱性能UP

ヒートショック・各種疾患対策として住宅の断熱性能UP

このように夏・冬において居室・非居室の温度差を少なくすること、そして室温を常に18℃以上にすること、室温を安定させるためには家の断熱性が重要となってきます。
しかし「家の断熱性」と言っても、何をどうしたらいいの?という疑問がわきますよね。
つづいては、健康で快適に暮らすための方策と、その具体的な効果について見ていきましょう。

家の熱は窓サッシから出入りする

住宅への熱の出入り

※出典:(一社)日本建材・住宅設備産業協会 省エネルギー建材普及促進センター「省エネ建材で、快適な家、健康な家」より

上図は、一般的な住宅で夏・冬に熱の出入りをする場所を表したものです。夏も冬も窓から熱が出入りしており、窓を二重窓にするだけでも大きな差が出てきます。

住宅への熱の出入り サーモ画像

出典:LIXIL様資料引用

上図は千葉県における断熱リフォームの一例ですが、リフォーム前後で、窓と床の表面温度が大きく異なった結果となっています。
上図のサーモグラフィでも青い部分の面積が小さくなっていることが分かります。
内窓を付けることで、壁面・床面の温度まで変化し、輻射熱の効果として「体感温度」も数字以上に上がったことから、エアコンの設定温度も元々24℃ → 22℃に下げて暮らしている結果にもなっており、0次予防への進歩と言えるのではないでしょうか。

光熱費の抑制にもつながる

住宅の断熱性は節電効果

断熱性が良いと、必要以上にエアコンなどの冷暖房を稼働させなくても快適に暮らせます。
そのため副次的な効果として、光熱費の抑制にもつながります。一般的な家庭では年間使用エネルギーの約3割が冷暖房となっており、この冷暖房における光熱費の出費が減るだけでも、お財布にやさしい効果となります。

まとめ|病気にならず快適に暮らす住まいのために

家の断熱性を向上させることは、光熱費の抑制などにも繋がりますが、安心して長く暮らすための第一歩です。
健康や安心というキーワードを考えると、断熱だけでなくバリアフリーなど、家族に合った観点も合わせて考えていく必要もあります。

昨今は断熱リフォームに補助金も多く出るため、上手に補助金等を活用しながら、健康で快適に暮らすため住環境全体を俯瞰的に見ながら改善し、定年後も安心して暮らせる家にしていきましょう。


気になった方は、お気軽にミサワリフォームまでお問い合わせください。