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お施主様インタビュー|デイサービス然としていないカフェのような空間
2024年、埼玉県入間市にリハビリデイサービス施設『STRYDE(ストライド)入間』を新規開業。2025年に2軒目となる『Rootz’(ルーツ)入間』を開所するにあたり、設計・施工をご依頼いただいた、施設長の鏑木啓之さんにインタビュー。
商業施設の一角を利用し、カフェやホテルを思わせる「デイサービス然としていない」内装やサービスが利用者さまに好評です。ミサワリフォームとタッグを組み開所に至るまでのお話を、ぜひ、皆さまがリフォームを考える際の参考になさってください。

施設情報
「Rootz’(ルーツ)入間」
所在地:埼玉県入間市
工事内容:開業のための改装
施工面積:199㎡
インタビュー
商業施設の元催事スペースを利用し、
デイサービスらしくない雰囲気にこだわってリフォーム

大型ソファが配された受け付けスペース。雑誌を読んだりコーヒーを飲んだり……と、利用者が思い思いに時間を過ごせる。
入間市駅から徒歩10分弱の場所にある、ショッピングプラザサイオス入間は、食品や衣料品を扱うショップのほか、映画館やボウリング場も入る、複合型商業施設です。その1階に、リハビリデイサービス『Rootz’(ルーツ)入間』はあります。
店舗が並ぶエリアからドアを開けて入り、照明を抑えめにした雰囲気のいい廊下を進んだ突き当り。もう1枚のドアを開けた中に広がるのは、一見すると、デイサービス施設だとはわからない、スタイリッシュな空間です。
ミサワリフォーム(以下「ミ」):以前にもリフォームのご依頼をいただいた一軒目『STRYDE(ストライド)入間』もそうでしたが、今回も「あえて一般的なデイサービスとは異なるスペースを作りたい」というご依頼でした。その意図を教えていただけますか。
鏑木啓之さん(以下「鏑木さん」):利用者のメインは80~90代の、要介護認定を受けた高齢者さまです。介護を必要としていらっしゃるわけですから、体力や運動能力の低下は否めませんが、現代のご高齢の方々はどなたも非常に気が若くていらっしゃいます。精神的には40代くらいといって語弊はないでしょう。昔でいうところの「老人」という表現は失礼にあたるのではないかと思われるほど若々しく、センスがいい。当然ながら「老人扱いしてほしくない」と思っていらっしゃいますから、そのお気持ちにこたえられる施設を目指したかったんです。それで思い切って「デイサービス色を一切出さない内装にしてください」とオーダーしました。「通うたびにワクワク感が湧いてくるようなインテリア」がコンセプトでした。
ミ:そもそもなぜ介護施設を開所しようと思われたのでしょう?
鏑木さん:私はもともとIT畑出身の、アウトサイダーです。主にポータルサイトの構築に従事していました。それなりにうまくいっていたほうなのですが、あるとき「明日自分たちの作ったサービスがなくなったとしても誰も気が付かず困らないのではないか」という考えが頭をよぎりまして……。より人の役に立つことをやりたい、と。
ミ:それが介護事業だった?
鏑木:実は当初から念頭にあったわけではないんです。事業転換を思いついた当時、週に6日、ジムに通うほどの筋トレ好きだったので、自分が好きなこの「トレーニング」領域で何か事業を起こそうと思いつき、その流れの中で、シニア向けフィットネスの存在を知ったことが契機となりました。社会福祉が入り口ではなく、フィットネスが入り口なので、少々珍しいケースかもしれません。
公的手続きを含め、介護施設のリフォームにまつわる知見が豊富である点がミサワリフォームをパートナーに選ぶ決め手に
ミ:なぜ入間市を選ばれたのでしょう?
鏑木さん:商圏分析をしたところ、入間市の特に豊岡エリアの実績がよかったためです。豊岡エリアに限定して、1軒目も2軒目も物件を探しました。
ミ:ミサワリフォームをパートナーに選んでいただいたのはなぜでしょう?
鏑木さん:ネットで検索し、3社ほどに絞ったうちの1社。決定打となったのは、細かな法規制が敷かれている介護施設の開所に伴う専門性が非常に高かったことです。1軒目のとき、私は介護事業においては門外漢というスタートでしたから、必要なことを手取り足取り教えてくれる点は心強かったですね。リフォームのみならず管理、施工といった周辺業務、法的手続きなどまで相談しました。その経験があったので、ここ、2軒目も迷うことなく依頼したんです。
カフェや美容院、ホテルなどの画像を共有して、デザイン設計を依頼

受け付けを終えると、ソファに腰掛けてバイタル(血圧)測定。座り心地がよく、立ち上がりやすい高さ・硬さのソファを求め、鏑木さんらスタッフはインテリアショップを探し回ったという。最終的に《ジャーナルスタンダードファニチャー》で発見した。「空間になじむだけでなく、汚れが目立ちにくいので、ヴィンテージ風のキャメルカラーを選びました」
ミ:話が少し戻りますが、今回の施設のリフォームにあたり、まず美容室やカフェなど介護施設とはほど遠い印象の空間の写真を共有していただくところからのスタートでしたね。
鏑木さん:ふだんから建築が好きでたくさんの画像をストックしている中から、スタッフと一緒にセレクトしたものです。体に多少負荷をかけての運動を好む方が利用する施設である1軒目と比較すると、もう少しゆっくりと運動したい方のための施設にしたかったので、「リラックス感」がキーワード。色で言うと、白・黒・ブラウンがベース、照明はやや落とし(暗くし)、ムーディにしたいとお伝えしました。デザイナーさんとコミュニケーションをとりながら、アイデアをカタチにしていく流れでしたね。



名門ホテルを思わせる重厚でラグジュアリーなエントランス。ドアの手前は長い廊下に。「アロマディフューザーを置いて香りの演出も。グリーンを絶やさず、心地よさを感じていただけるよう努めます」
ミ:雰囲気をとても大事にされていて、特にファーストビューになみなみならぬこだわりをお持ちだった印象です。
鏑木さん:催事などに使われていた、約400㎡の開けたスペースでした。それを壁で囲んでから中央に壁を立て、奥と手前、2つの空間に分けました。あえてその奥のほうをデイサービス施設にし、その入り口に到達するまで距離を設けたのは、おっしゃるとおり、雰囲気を楽しんでいただきたかったからです。いちばん手前のドアを開けてもすぐに入室できず、「え、どこに来てしまったんだろう?!」「合っているかしら?」と思いながら、ほのかな明かりだけが灯る廊下を進んでいただきます。そうした仕掛けがちょっとしたサプライズになり、利用者さまのドキドキやワクワクにつながればいいなと思いました。
ミ:建築基準法で、200㎡を超えると、小売店からデイサービスへと用途変更をしなければいけない決まりもあり、その手続きが煩雑です。それを回避する意味でも、空間を2つに分けたほうがベターでした。
鏑木さん:1軒目のリフォーム時からそういった法的なことをレクチャーをしていただいて、今回も事務手続き不要で開所にこぎつけることができました。
40名が同時利用できるダイナミックさ
最新の運動器具を10台揃え、利用者に上質な運動を提供する
ミ:200㎡以下に抑えたとはいえ、デイサービスとしてはかなり広いほうではありませんか。
鏑木さん:おそらくそうでしょう。広ければ、初期費用が高くなり、損益分岐点を超えるまでが長くなる。その間の運転資金もかさみます。ただ、ゴムで体を吊って支え安全にリハビリ運動をしていただける器具《スペースワンダー》を導入したかったので、思い切りました。

《スペースワンダー》は全部で10台。国が定める介護報酬(基本的なサービス料金)の基本額は上限金額が設けられており、決して高くない。鏑木さんはそれでも利用者に質のいい運動をしてもらえるほうを選択した。「運動空間にはあえて手すりをつけていません。手すりをつけることで雰囲気が高齢化してしまい、利用者の方の興ざめを招くのを避けたかったのです。代わりにスタッフがきちんと介助して差し上げることで、危険を回避します」
ミ:利用していらっしゃる方々の反応はいかがでしょうか?
鏑木さん:40代から100歳までの方々が通ってくださっていますが、一様に喜んでいただけていてほっとしています。またそういった方々が利用する以前に、まずはケアマネージャーさんが複数の同様施設を見学して、そのうちの、最低でも2軒を利用者の方に推薦してくださることになっているんですが、こういった内装や雰囲気、設備のところはないこともあって、弊社をお選びいただく方が多いと感じています。
利用者の尊厳を尊重し、トラブルにも迅速に対処するために
見た目より機能を重視した、トイレ

ミ:そんななか介護施設らしさにこだわられたのがトイレでした。
鏑木さん:利用者の方の尊厳やプライバシーを守るため、原則としてトイレ介助は行いません。そのかわり、手すりを多く取り付けて、一人でも、車いすに乗っていても、用を済ませることができる広さを取りたいと希望しました。
また誤ってトイレに異物を流してしまうトラブルがつきものなので、後処理(除去)しやすい設計にしてもらっています。建物の構造上、天井裏に人が立てる高さがあるということで、排水を圧送する方式にして、床下ではなく天井裏に排水パイプを延ばし、点検や除去作業を天井裏で行えるようになっています。
ミ:リフォームに際し、不安はありませんでしたか?
鏑木さん:依頼してから開所までは、工事期間は1ヵ月半~2ヵ月とタイトでしたが、予定通り進めていただけました。一軒目の依頼時もそうで、納期内に完成しましたし、不安はありませんでした。費用の透明性も高く、また相談もしやすい。めんどうな公的手続きについてもサポートは万全で、とにかく安心できました。
見た目と香りとサービスで別世界を体感してもらいたい

無料のドリンクサーバーは2つあり、8種類のドリンクを楽しめる。プラス100円でプレミアムドリンクも用意。メニューは3ヵ月ごとに変えている。
ミ)ドリンクやハンド&フットケアのサービスも提供していらっしゃいますね。
鏑木)はい。それを想定して、入り口付近にソファスペースを設けたいとお伝えしたのです。デイサービスは最低でも3時間を過ごさなければいけない決まりになっています。3時間も運動を継続することは健康な若者でも困難ですし、その日の気分によっては運動をせずにただのんびりスタッフとお話をしたいという方もいらっしゃいます。それで、フレーバーの異なるコーヒーやお茶を無料で提供しています。クリームやオイルの香りを選んでいただいて、介護士によるハンドケア、フットケアも受けていただけるんですよ。介護保険料内でどなたでもご利用いただけます。
ミ)見学希望の方が大勢いらっしゃると聞きました。
鏑木さん)送迎車が回れる範囲が限られるので、現在は入間市内の方に限定して利用いただいていますが、空間の雰囲気とほかにはないサービスを求めて希望してくださっている方も多いです。年を重ねれば重ねるほど行く場所が限定される、おしゃれさとは縁遠くなっていくと諦める方がいらっしゃいますが、そんなことはない、いくつになってもワクワクできるんだと思いながら過ごしていただける場になっているなら、これほどうれしいことはありません。
まとめ|いくつになってもワクワクできる場所にしたい
鏑木さんの思いを形にした「Rootz’(ルーツ)入間」はまったく新しいコンセプトのリハビリデイサービス施設です。さらなる施設の開所など、鏑木さんが今後予定しているというさまざまなプロジェクトでどんな景色が見られるのか、胸が高鳴ります。
ミサワリフォームは、豊富な経験と専門知識、ノウハウで、機能性と快適性を両立した空間、価値を高めるリフォームを実現します。事業の継続性を考慮した、段階的なリフォームも可能です。
インタビュー:中嶋茉莉花
