豊かな老後のために

人生100年といわれる時代になり、定年後のセカンドライフが長くなりました。平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳となります。
60歳で定年を迎えた場合、約25年間がセカンドライフになります。
健やかに、豊かなセカンドライフを過ごすにはどんなポイントがあるのでしょうか。

定年後のセカンドライフの中でお悩みとして「健康」を挙げる方が多くいらっしゃいます。
この健康のお悩み、じつは「住まい」で対策することができるんです。

健康を住まいでそなえる

健康を住まいで備えるとは……

年齢を重ねると様々な不調が身体にあらわれます。
慣れた住まいだからと思っていると、思わぬケガや病気の原因となる場合があります。

筋力低下によるつまづき

筋力が衰えることにより、今まで問題のなかった家の中の段差につまづき、骨折やケガにつながる場合があります。
万が一骨折してしまうと、骨折後の筋力・心身機能低下からの復帰には若いころよりも数倍時間がかかり、場合によっては廃用性症候群につながってしまう可能性もあります。


家の中で身体をぶつけてしまう、滑ってしまったなどしたら、住まいの見直しのサインです。「転ばぬ先の杖」ならぬ「リフォーム」で先回りしてください。
リフォームは一時的にお金はかかりますが、長い目で見ると医療費の節約につながります。

対策ポイントは…

・つま先がかかとよりも落ちないように筋トレを行う
・なるべく積極的に動く
・家の中の段差解消リフォーム、手すりの設置で危険を少なくする

住まいの温度で若返る?

WHOの提唱する冬の住宅最低温度は18度以上です。
ですが、日本の住宅では以下のような調査結果となっています。

◆リビング 61%が18度未満
◆脱衣所  89%が18度未満

冬場に1度暖かい家に住むと脳年齢が2歳若くなるという研究結果も出ています。国土交通省の調査では、朝のリビングの室温が18度未満の住宅に住む人の総コレステロール値、悪玉コレステロール値が高くなり、また心電図表の異常所見も多くなることがわかっています。
12月から3月の死亡事故の原因をご存じでしょうか。
この時期は入浴中の死亡事故が非常に増加します。入浴中の死亡事故は年々増加し、交通事故死を上回っています。理由はヒートショック。温度差による血圧上昇等の体調変化です。


入浴の対策ポイントは……

温度差の解消のため浴室や脱衣所を温めておく
・湯温は41度以下、湯につかる時間は10分以内※

※「厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究 平成24~25年度総括研究報告書(研究代表者:堀進吾)」P.227「安全な入浴の手引き」(パンフレット)にて推奨されている目安。

・湯船から立ち上がるときはゆっくり※

※湯舟の中では、身体には水圧700KGかかっています。一気に立ち上がるとたちくらみにつながります。

そのほか、ヒートショックの起きやすい場所として「トイレ」があります。

トイレの対策ポイントは……

・上着・靴下・スリッパ着用で向かう
・便座を温める
・居室とトイレの温度差をなくす
・立ち上がるときにはゆっくりと

トイレでは温度差・便秘・いきむことがリスクにつながります。それぞれの条件を和らげることが重要です。

人生100年時代は健康寿命が重要。

人生100年時代と言われて久しいですが、健康寿命という言葉をご存じでしょうか。健康寿命とは、「日常生活を制限されることなく健康的に生活を送ることのできる期間」と定義されています。「日常生活の制限」とは、介護や病気などを指し、自立して元気に過ごすことができない状態を指します。

2013年の健康寿命、平均寿命を下記の表にしました。差し引きした要介護・支援の年数はそれぞれ男性約9年、女性約12年となっています。

健康寿命平均 平均寿命 差し引きした要介護・支援の年数
男性 おおよそ72歳 81歳 約9年
女性 おおよそ75歳 87歳 約12年

今後寿命が長くなるにつれ、この「要介護・支援」の年数なるべく少なくしたいですね。

健康寿命を延ばすには?

健康寿命を延ばすには、前述した「住まいでの備え」が有効と考えられます。
日々を過ごす住み慣れた家だからこそ、快適で豊かに暮らすことをお勧めします。

そのためにも下記のポイントをもう一度チェックしてみてください。

・冬の室温(18度以上)
・冬の浴室、脱衣所、トイレの室温、気温差
・大きな段差
・かがまなければできない日常の動作がある場所
・生活導線
・家事導線 など…

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