珈琲が農作物として育ち、一杯のコーヒーになるまでの流れを知っていますか?今回は、ミサワリフォーム主催のイベント「あなたの知らないコーヒーの世界」についてご紹介。原材料や生産地についての知識を深めれば、一層コーヒーがおいしくなります。ハンドドリップでの、美味しいコーヒーの淹れ方についても学んでみましょう。
今回、イベント講師をしていただいたのは、東京都八王子にある珈琲店・「かしわや珈琲」店主の長澤さんです。
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目次
一杯のコーヒーができるまで
珈琲は何からできている?|原材料を知る
ご存じのように、コーヒーはコーヒー豆を原料として淹れるものです。それでは、「コーヒー豆」は何からできているのかご存じでしょうか?ここでは、コーヒー豆として完成する前の「原料」について注目してみましょう。
コーヒー豆は元々「生豆(なままめ)」と呼ばれる状態です。この生豆を焙煎機にかけることで、一般的にお店で見かけるコーヒー豆になります。
上の写真を見比べるとわかるように、豆の種類によって生豆の状態でも見た目が違います。
さらにこの生豆の前に遡ると、「コーヒーチェリー」という赤い果実が元々の原料となっています。赤い実の中に入っている種が、生豆になるのです。
生豆を焙煎してお湯で抽出することで、皆さんが普段飲んでいるコーヒーになります。
コーヒーチェリーはどんなところで育つの?
コーヒーの原料である「コーヒーチェリー」は農作物の一種です。農家の方が大切に育てて収穫するというプロセスを経ることで、質の良いコーヒーになります。
農作物ができる環境には、ある程度の条件があります。例えば高度、寒暖差…などいくつかの要件をクリアする必要があるのです。
コーヒーチェリーは「コーヒーベルト(Coffee Belt)」と呼ばれる地域で生育が可能になります。コーヒーベルトとは、地球上の赤道を中心にして「南回帰線から北回帰線の間にある熱帯地方」のことを指します。上図のように、栽培の適地であるエリアがベルト状になっていることからそう呼ばれています。
コーヒーチェリーの作り方
コーヒー豆の原料であるコーヒーチェリーには、上の写真のように緑色や赤色、紫色など様々な色があります。「同じ枝に育つ豆でも熟度が一定にならないこと」も特徴の一つです。
果物の多くは「熟したものが1番美味しい」と言われるように、コーヒーチェリーについても同様で、熟しているものの方が風味が出るとされています。そのため、完熟した実だけを一粒一粒ていねいに手摘みする必要があるのです。
仕分けしたコーヒーチェリーは果肉を取り除き、種だけになったものをきれいに洗います。その後しっかりと乾燥させ、脱殻機にかけて殻を脱穀します。これが「生豆」となるのです。
このように、コーヒーができるまでにはたくさんの人の労力と自然が必要です。ちなみに、コーヒー1杯に必要なコーヒー豆は「約200粒」となります。人と環境が作り出すもの、それが「コーヒー」なのです。 コーヒーというと焙煎方法や美味しい淹れ方に目が行きがちですが、背景を知ってから味わうコーヒーは格別に感じるかもしれません。
コーヒー飲み比べ
今回のイベントでは、同じ珈琲豆を使い「焙煎度の違い」で飲み比べをしました。焙煎度は、2パターンで比べました。
1.深煎り
2.中浅煎り
実際に飲み比べをしたイベント参加者の方からは、「全然違う!」と驚きの声が漏れていました。「深煎りは、奥深い感じがする」という声や、「中浅煎りは、コーヒーとは思えないほどフルーティーで爽やか」という感想が多かったです。和気藹々とした雰囲気で、楽しんで頂けました。
深煎りの特徴
ここでは深煎りと中浅煎りのそれぞれの特徴の違いについて、簡単にご紹介します。
まず「深煎り」とは、高温で長時間焙煎することを指します。一般的に豆表面の色が濃く、豆の表面は油分を含んで光沢があります。
深煎りのコーヒーは、苦味と濃厚な風味が特徴です。焙煎によってコーヒー豆の内部の糖分が分解され、炭化物や油分が増加します。その結果、チョコレートやカラメルのような甘い風味が感じられます。また、焦げたような香りやスモーキーな香りが感じられることもあるでしょう。
長時間の焙煎によってカフェインが分解されるため、カフェインの含有量は浅煎りよりも少し減ります。また焙煎によって酸味が低減されるので、より滑らかでまろやかな味わいになるのも魅力です。深煎りのコーヒーは「濃い味わいや苦味が好きな方」におすすめです。
中浅煎りの特徴
コーヒーの「中浅煎り」とは、中程度の焙煎度合いで仕上げることを指します。浅煎りと深煎りの中間位の焙煎レベルであり、一般的にバランスの取れた風味と酸味を持つコーヒーになります。
焙煎によって糖分や酸味が程よく引き出され、豆の風味が活かされます。一般的には、深煎りよりも酸味がやや強く感じられることがあります。また、焙煎の過程で芳醇な香りが広がります。フルーティーな香りや、花のような香りが感じられるでしょう。 味に関しては、深煎りほどの苦味はなく酸味がやや強く感じられます。しかし焙煎の過程で酸味が程よく抑えられており、まろやかな口当たりを持ちます。酸味と苦味のバランスが取れた味わいで、コーヒーの個性を楽しみたい方にも人気があります。
ハンドドリップでのコーヒーの淹れ方体験
使ったアイテム
最後に、実際にハンドドリップで珈琲を淹れる体験を行いました。使用したコーヒー豆は「かしわや珈琲 ハウスブレンド2番」です。
使った道具はこちら。雑貨店やコーヒーショップでも手に入れられるグッズが多いので、実際に家でもお試しいただけます。
ハンドドリップでの淹れ方
ハンドドリップでの大まかなコーヒーの淹れ方手順は、下記のようになります。
1.豆を挽く
2.ペーパーをセットする
3.蒸らす
4.ドリップする
1.豆を挽く
まず、コーヒー豆をミルで粉にします。挽き目はお好みで調整可能ですが、今回は少し粗め(中挽きよりすこし粗い程度)にしました。分量は、下記を目安にしましょう。
1人分(170cc):約20g
2人分(340cc):約30g
2人分の分量については、単純に「1人分×2ではない」ため注意してください。
2.ペーパーをセットする
次に、ドリッパーにペーパーをセットします。この時「ペーパーの圧着部分を折り返す」と、隙間が空かず上手く密着します。
そして、粉を入れる前にペーパーにお湯を注ぎます。この作業は「リンス」と呼ばれ、ペーパーの余計なにおいを除去する効果があるといわれています。 適温は90~95℃なので、沸騰したばかりのお湯ではなく、ご自宅では「沸騰後ドリップポットに移したお湯」を使うようにしましょう。
3.蒸らす
最後にドリッパーに粉を入れて、表面をならして平らにします。サーバーの上にドリッパーを載せ、ドリップしていきましょう。
まずは粉の中心にすこしずつお湯を注ぎ、30秒程蒸らします。お湯は粉と同じ程度の量が目安で、ポタポタと2~3滴落ちてくるのが適量です。あくまでも「粉にお湯を含ませる」ことを意識してください。
4.ドリップする
蒸らしのお湯を注いでから、「1人分は2分45秒~3分、2人分は3~3分半」でドリップしていきます。
抽出し終わるまでに、4~5回に分けてお湯を注ぎましょう。粉の膨らみが収まってしぼみ始めたら次のお湯を注ぐという具合に、できるだけゆっくり注ぎます。最初は少量ずつ注ぎ、徐々にお湯の量を増やすのがコツです。
サーバーの目印までコーヒーが抽出できたら、完了です。最初に抽出したものは濃く出やすいので、最後に軽く振り混ぜるとよいでしょう。
まとめ|コーヒーのある暮らしが素敵
今回は、「かしわや珈琲」店主の長澤さんからコーヒーについて教えていただきました。普段何気なく飲んでいるコーヒーも、原材料の背景や生産地について知ることでより味わい深くなるでしょう。ハンドドリップは自宅でも試しやすいので、ぜひ豊かなおうちでの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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■プロフィール■
かしわや珈琲 店主 長澤 智之さん
印刷会社、砂糖問屋の経験を経て、コーヒー店主として働く。
■ショップ情報■
かしわや珈琲
〒193-0835 東京都八王子市千人町3-3-3 https://www.kashiwaya-coffee.com/