フロアで世帯を分け、リビングを共有スペースにして「つながる」

二世帯リノベーションのパターンとして、上階と下階で世帯を分けることが多いですが、限られたスペースを有効に使うことと、世帯間のつながりを持たせるために、広く快適なリビングを設けると、それぞれ世帯の暮らしを尊重しながら、つながりがもてる二世帯住宅になります。

リビング内階段で三世代をゆるやかにつなぐ

奥様が育ったご実家で、生まれたばかりのお子さんたちと、三世代同居をすることになったH様ご夫婦。1階の間仕切り壁を抜いて、家族6人が集えるLDKを中心に据えました。さらに2階を子世帯スペースにして階段を移設し、将来お子さんが出かける時や帰ってきた時、LDKを必ず通る「センターリビングプラン」にしました。階段の吹き抜けまわりにはカウンターデスクを設け、家族の気配を感じながら、自分時間に没頭できる空間も用意。「じっくりと検討を重ねたこの階段が、みんなのお気に入りです」とH様。耐震補強や断熱改修も行い、安心感やあたたかさに包まれる二世帯住宅に生まれ変わりました。

1階から2階へ上がる階段を、家族が集うLDK内に設置。変形プランに沿わせ、かつ採光を妨げないスケルトン階段とした。

かつての面影が残る、LDKのTVコーナーおよび出窓収納まわり。

2階の主寝室と階段は内窓でつながる。階段を上がったホール内にもカウンターデスクを設置。

地階の親世帯はコンパクトながら専用のDKを設け、主寝室と一体化したワンルームにまとめた。

つながりを深める二世帯住宅をデザイン

ご両親と同居するにあたり、ご実家のリフォームを希望されたSさま。1階をご両親、2・3階をSさまのスペースとする二世帯住宅を設計しました。2階は4人で過ごす時間も楽しめるように、広びろとしたLDKをデザイン。ヘリンボーン柄の床材や木の家具、間接照明を採用し、くつろぎやすい温かな雰囲気を演出しました。1階は2階と同様に濃茶とオフホワイトを基調としたインテリアを計画。ご両親がそれぞれの作業に集中できるよう机を二つ造作しています。また、外観も内装に調和するデザインへと一新しました。行き来しやすい設計や住まい全体の統一感により、二世帯それぞれの暮らしや個性を尊重しながらも、よりつながりを深められる住まいの完成です。

2階は4人でも広びろと過ごせる一体LDK。天井付近だけでなくテレビボードの下にも間接照明を設置したことで空間に陰影が生まれ、温かくて上質な印象となります。

広びろと作業しやすい2階の対面キッチン。ご家族とふれあいながら料理ができます。

1階のご両親フロア。区切られていた部屋をつなぎ、ゆったり過ごせるようにしました。

1階にはご両親それぞれの机を造作。各々に合う収納を設け、使い勝手を高めました。

玄関の近くには、お父さまが趣味のロードバイクをディスプレイしながらすっきりと片付けられるスペースを新設しています。

After(外観)

世帯間の動線が交錯しないようにする

限られたスペースの二世帯住宅ですと、浴室や洗面所を共有するケースがありますが、生活のリズムが違う世帯が同居すると、動線が交錯しストレスを感じてしまうことも少なくありません。そんな状況に陥らないためにも、それぞれの世帯スペースから共有スペースにダイレクトにアクセスできる動線が取れるような間取りに変更すことをお勧めします。

少しの階段移動と増築で 三世代同居を叶える

築浅のご実家を部分的に増改築して、1階を親世帯、2階を子世帯、玄関と浴室を共有する間取りに変更しました。生活時間帯が異なる二世帯が気兼ねなく暮らせるように、1階の階段とトイレ、浴室と洗面・脱衣室をそれぞれ入れ替え、子世帯から直接、玄関や浴室に行けるようにしました。2階は階段ホールをなくして、できる限りLDKを広くとり、面積的に足りなかった子供室は増築。トップライトも新設して、コンパクトながらも自然光に溢れ、のびのびと子育てができる空間に整えました。

個室と階段ホールをつなげて生まれた子世帯のLDK。テレビを掛けた壁はエコカラットを張り、空間のアクセントに。

2階に増築した子供室。二連引込み戸を開ければLDKと一体化する。

親世帯のリビング。LDKを通らずに浴室に行けるように、リビング内にあった階段を玄関側へ移設。キッチン側の出入り口は幅30cmほど残し、これまで通り、行き来できるようにした。

1階のもと和室は床をフローリング敷きにして、親世帯の主寝室に。まだ新しい設備や建具、仕上げ材はできる限り活かした。