今回は、陶芸家の田中采敬さんをお招きし
「やさしい金継ぎ体験」として新漆を使った簡易金継ぎを教えていただきました。

田中さんが陶芸をはじめたきっかけや陶芸家ならではの金継ぎの魅力についてもお伺いしました。

創作の楽しさ

田中采敬さん陶芸作品1
田中采敬さん陶芸作品

──陶芸家としてご活躍されている田中さんですが、昔から、陶芸やものづくりは身近にあったのでしょうか。


全然!昔から身近にある感じではありませんでした。美大とかにも行ってないですし、専門的な事は学んでいませんでした。

ただ、自分が小さい時は、泥団子ばっかり作っていました。

実家は池袋ですが、小さい時は家族で埼玉に住んでいたんですよ。
今じゃすっかり都会だけど、その頃は駅からバスに乗ったら、本当に田舎でした。

その頃から泥が好きでしたね。


──その当時から創作はお好きだったんですね

そうですね、1日中泥団子を作っていましたからね。

固くするにはどうしたらいいのか、綺麗な形にするのはどうしたらいいのか、自分で考えて中に石を入れてみたり、水を使って外側を磨いてみたり試行錯誤していました(笑)。

もう本当に丸くて美しい泥団子を作りたくて、作っちゃ並べて、自分で品評会を毎日して、 これはちょっと丸くない。とか、そんなことばっかりやっていました。


──工夫しながら物を作る姿勢は今に繋がっている気がしますね

結局、今でも何か作るときの気持ちって当時の泥団子を作っていた時の気持ちと同じというか。すごく楽しい時間だったというか。

田中采敬さん陶芸作品2
田中采敬さん陶芸作品

──泥団子作りが大人になって、陶芸家の今に活きているわけですね!


そうですね。

土いじりばかりしていたので、幼稚園の時には大きくなったら、自分で作ったお茶碗でご飯が食べたいって思っていました。相当土や陶芸が好きだったんだと思います。


──いつ頃から本格的に陶芸を始めたのでしょうか。


美大に通っていたわけでもなかったので、なかなか陶芸のところに行くまで時間がかかりましたね。陶芸をやり始めたのは全然ずっと後です。


──そうだったんですね。どこで陶芸を学んだのでしょうか。


アトリエに行って教わって、最初の作品はお茶碗を作りました。

出来上がった自分のお茶碗でご飯を食べた時は感動しましたね。

だって幼稚園の時から思っていた、夢ってほどのものじゃないけど、やりたいって思っていたものが25年越しに叶ったので嬉しかったです。

はじめての金継ぎ

田中采敬さん金継ぎ作品1


──田中さんがはじめて金継ぎをしたのは、いつ頃だったのでしょうか。


陶芸を始めた頃、金継ぎも挑戦してみたくて教わりに行きました。

せっかくなら自分で作った陶芸作品でやりたいと思ったのですが、大切に使っている物ばかりで、割れたものがなくて(笑)。

仕方がないので、自分で作ったお茶碗をハンマーで割りました(笑)。

──ご自身で割ったのですか?!

でも割るのってとても難しくて。

なかなか割れないから、力をこめたら木っ端みじんに…。

こんなに割れなくていいのにって(笑)。

──細かく割れてしまうと金継ぎも難しそうですね。

そうなんです。それで知り合いの方が金継ぎを教えているのでバラバラになったものを持って行きました。

あまりにも割れ方が細かくて先生はちょっと嫌がっていましたね(笑)。

思い出が蘇る金継ぎの魅力

田中采敬さん金継ぎ作品2
田中采敬さん金継ぎ作品3

──田中さんが思う「金継ぎの魅力」って何でしょうか?


器やお皿って元々誰かが作っているわけです。
例えば、骨董品であれば江戸時代のもので、その時代に誰かが作ったものですよね。

江戸時代に誰かが作ってくれた器を今も大切に使って
割れてしまっても、捨てられずにそれをまた使いたいと思う人が金継ぎする。

そんなストーリーを感じられるところが、金継ぎの魅力かなと思います。


──なるほどですね、そう考えると金継ぎってとても奥深いですね。


気に入ってお皿を買って、使って、割れちゃって、直して。

直した人と作った人のコラボレーションになって1つの作品になりますよね。

それってすごくキラキラしているなって思っちゃうんですよ。

なんか その共同作業って素敵じゃないですか?

──素敵ですね。あとは、もし割れてしまっても金継ぎで直すことができると思うと少し前向きな気持ちになれますよね


そうですよね!
もちろん大切にしていたものが割れちゃうのは悲しいですが、 直せるじゃん。みたいに思えると、その悲しさみたいなのが楽しさに変わります。

イベント内容


──田中さんは今までにも沢山の金継ぎ体験イベントを開催しているんですよね。

そうです。参加者の方から金継ぎしたい物の話などを聞いたりすると、自然に参加者の方同士で仲良くなったりして、いい空間が生まれます。

それぞれが大切にしている思い出話ができるところも金継ぎの魅力ですね。

──陶芸と金継ぎの魅力が伝わるお話ありがとうございました。

金継ぎにご興味がある方は田中さんのInstagramを見てみてください。

陶芸家・アーティスト 田中采敬さん
公式Instagram @saikei_tanaka

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