夏場になると冷房による電力需要急増に伴い、大規模停電などが起きるリスクも
指摘されている昨今。

また夏場は大型台風、季節に関係なく地震などでも停電のリスクもあり、
こういった災害に対する備えをリフォームで行うことも大事ですよね。

今回は災害などの停電で活躍する、太陽光発電や蓄電池の大まかな解説、
そして一番気になる実際の導入コストの相場、結局「元が取れるの?」という部分についても解説します。

それでは、まず今回の記事のポイントをみていきましょう。

・太陽光発電は晴れている日中に発電を行い、蓄電池があればその電気を貯めておくことができる。
 
・太陽光発電や蓄電池は災害対策と、光熱費節約につながる。
 
・蓄電池には様々なタイプがあり、停電時にどんな家電を使いたいか?
 家族構成などによって選ぶタイプが異なる。
 
・長い目で見れば「元が取れる」可能性も大いにあり、発電した電気を自分で使う
 「自家消費」の効果をしっかり見極めることが大事。

1. 太陽光発電と蓄電池の停電時の使い方

停電時において、太陽光発電システムがあって晴れている日中であれば、
最低限の電気を確保することができます。

ただし確保できる電気は、パワコン(=発電した電気を家の中で使えるように変換する機械)1台につき最大1500Wまでの電気で、簡単に言えば

壁に付いているコンセント1個分の電気(100V)が確保できます。

ただ一方で、曇ってくると出力が落ちるため安定的に消費電力が高い家電(ドライヤーや電気ファンヒーター等)は使いにくいです。

また停電した瞬間が雨天・夜間であれば、太陽光発電の発電はあてにできません。

そんな時に
蓄電池があれば、天候などに左右されず安定した電気を確保でき、安心感も高いです。

2. 太陽光発電・蓄電池のメリット

それでは、大きく2つある太陽光発電・蓄電池のメリットを紹介していきます。

2-1.災害対策になる

1つ目は、「災害時の電気が確保できる安心感」です。

太陽光発電と蓄電池がセットであれば、停電が数日続いたとしても晴れれば発電した電気を使いながらでも、蓄電池に電気を貯めて夜間にも使うことができます。

蓄電池は様々な種類がありますが、太陽光発電との連携が得意なタイプは「ハイブリッド型」と呼ばれる蓄電池です。

この蓄電池は、停電時において太陽光発電で発電した電気をしっかり活用できるため、
災害への備えをしっかりしておきたい!という方は「ハイブリッド型」蓄電池がオススメです。

2-2. 光熱費の節約になる

そして2つ目のメリットは、「光熱費節約に効果が高いこと」です。

普段、太陽光発電は発電した電気を自分で使う運転をしています。(自家消費)

そして自分で使っている量より、発電している電気量の方が多いときは、電力会社に「売電」します。

昨今はこの売電で買い取ってくれる単価が、ひと昔に比べて安くなっていますが、それ以上に電力会社から購入する電気代が高くなっています

太陽光発電で発電をして自分で使う、さらに蓄電池にためておいて自分で使う「自家消費」の効果は非常に高いと言えます。

3. 蓄電池の種類とオススメの容量

蓄電池にはタイプがあり、停電時の運転によって差が出ます。

3-1. 全負荷と特定負荷の違い

蓄電池には、停電のときに家全体の家電をカバーできる「全負荷タイプ」と、
一部の回路しかカバーしない「特定負荷タイプ」があります。

一見、全負荷の方が良く見えますが、家全体で電気を消費するため、蓄電容量が多いタイプ(おおむね10kW以上)でないとすぐに使い切ってしまう、という側面もあります。

また電力会社と連携できている普段の運転は、特定負荷でも家全体の電力をカバーするため、
停電時のみ運転が異なってきます。

3-2. ハイブリッド型と単機能型の違い

先ほど少し触れたハイブリッド型は、停電時において太陽光発電の発電した電気を最大限活用することができます。

それに対して単機能型と呼ばれる蓄電池は、太陽光発電のパワコンで1500Wに制限された状態から、残った電気を蓄電池へ充電するため、停電時において太陽光発電から十分な充電ができない欠点があります。
(一部の機種は異なる)

普段の連携時(電力会社とつながっているとき)は、いずれのタイプも発電した電気を最大限受け取ることができますが、停電時だけ異なります。

3-3. 100V出力と200V出力の違い

停電時、蓄電池からの出力でも違いがあります。

100V出力タイプが多いですが、200V出力ができるタイプもあります。

200V出力タイプであれば、エコキュートやIH、エアコンを稼働できるためカバー範囲が広がりますが、電力消費が激しいことも念頭に置いておきましょう。

3-4.オススメの容量は7~10kWh

蓄電池は、半日(夜間)の電気をまかなえることと、停電時でもある程度の容量を
確保できる7kWh~10kWhがオススメです。

停電時だけでなく、普段の使い勝手・使用電力量を考慮して容量を選ぶと良いでしょう。

4. 太陽光発電・蓄電池の導入コスト

みなさんが気になる、太陽光発電や蓄電池の導入コストです。

ズバリ結論から申し上げると、
太陽光発電(5kW前後)と蓄電池(5kW前後)を一式導入すると約250万円〜が相場です。

太陽光発電はkWあたり約30万円で、一般的な35坪程度の住宅で十分な発電量を確保できる約5kW~6kWがおすすめです。

この容量であれば、パワコンも1台で済むことが多いため、割安にプランを組むことができます。

そして蓄電池の現在の相場は、kWhあたり25万円~です。

一般的な蓄電池は約5kWh前後~の容量になっており、その家の電力使用状況や停電時の備えについての考えで容量は変えると良いでしょう。

また、導入するのであれば今後はセットで導入する方が相乗効果もありオススメです。

4-1.自家消費を考えると「元が取れる」可能性も

太陽光発電や蓄電池において、「元が取れるの?」という質問をよく受けます。

結論から言えば、
長い目で見れば「元が取れる可能性が高い」(地域による)です。

上記で解説した発電した電気を自分で使う
「自家消費」の効果を考えることが大事です。

電気代が急激に上がっている昨今の状況を考えると、太陽光発電と蓄電池の組み合わせであれば「元が取れる」可能性も大いにあります。

売電収入だけでなく、「高い電気を買わない効果」まで計算に入れると、電力会社のプランによっては、太陽光発電と蓄電池の初期コストを10~20年程度で回収することも不可能ではありません。

ただし、売電のように「目に見える形で返ってくるわけではない」ため、
自家消費のことをしっかり理解しておくことが大事で、このあたりはミサワリフォームでもご提案しています。

4-2.2022年で利用できる補助金

補助金は地域によっても差があります。

東京都であれば、太陽光発電や蓄電池に対して、非常に手厚い補助金がありますので、
東京都の方は特に検討するタイミングとしてはベストでしょう。

また、東京以外でも各市町村で用意されている補助金があります。

ただ昨今は、太陽光発電だけでは補助金が出ない市町村もあり、蓄電池やHEMSなどの機器と複合的に導入して初めて補助金が出る自治体も増えてきていますので、
お住まいの自治体のホームページなどで確認してみましょう

5. まとめ

太陽光発電や蓄電池は「まだまだ」と思っている方も多いと思いますが、電気代の高騰や今後は脱炭素に向けて、太陽光発電や蓄電池の導入が加速していきます。

今後は益々、「自家消費」の効果が高くなってくるため、
「売電が安いから」という理由で導入を見送ると損してしまうことになりかねません。

この機会に、一度シミュレーションなどを行って、光熱費から節約するとともに災害への備えを万全にしておくこともよいのではないでしょうか。